福岡で見つけた“麗しき黒髪の乙女”の話 4

プロローグ

前回、先輩が私の気持ちをわかっていないと馬鹿にしたが、考えてみれば私も私の気持ちなどわかっていないのだ。

女性への妬み

私は大学生1、2年の頃、乃木坂46を妬んでいた。同世代の女の子があれだけ社会的有為の人材として活躍しているのに、私ときたら昼寝以外に大してすることもなく、成長の無い日々を送っていたからである。仮面浪人を始めたものの大して勉強せず失敗し、後に人生に迷うことになった原因を作ったのもこの頃である。これは恋ではない、妬みである。

大学3、4年の二年間は、大学のミスコンテストの女の子を妬んでいた。理由は先ほどと一緒だ。同じ大学の同じ学部となったら随分と身近になるので恋心もあったかもしれないが、彼女も芸能人だったので、薔薇色のキャンパスライフを一緒に送ることは想像できなかった。これもどちらかと言えば妬みである。

ところで、この妬みを原動力に、彼女たちを越えようと努力をできれば良かったのだが、学生時代は結局、惰眠を貪りたいという欲求が勝ったので、ただの一回も努力をすることはなかった。

憧れの先輩

そしていま、私は会社にいる“麗しき黒髪の乙女”の背中を追いかけている。デートに誘い損ねたのは残念だったが、恋敗れた今も、憧れの先輩との関係を楽しんでいる。そして何より、繁忙期に休日返上で働きながら仕事帰りにジムに行く彼女を見ていると、怠惰に満ちている自分の毎日を反省する。この感覚は今回で3回目だ。ところが、今回はいつもと何か違う。

エピローグ

先日、会社の会長が現場に来た際に会食をした。同じく福岡に赴任した三人の新卒と一緒だった。宴が進み酒も深まってきた頃、会長が恋人がいない三人の新卒に、会社の人間なら誰が好きなのかと訊いてきた。滅多に飲まない酒を飲み酔っ払っていた私は、先輩の名前を挙げ、「布石は打っている」と答えた。
まさか、私が先輩に送っているこのブログのことだろうか。まさか私は……諦めていないのだろうか。尋常な私には分からない。ただ、思えば、彼女を越えたいというよりは何となく、彼女に相応しい男になりたいと願っている気がする。