プロローグ
先輩が突如として私の前から消えてから一ヶ月弱が経ち、ようやく再開を果たすことができた。そして間違いなく、今日が先輩と会う最後の日である。
物語のエピローグ
私と先輩の今日が刹那いかなる展開をみせたか、それはこの稿の主旨から逸脱する。したがってその人生で最も幸せな妙味を逐一書くことは差し控えたい。読者もそんな唾棄すべきものを読んで、貴重な時間を溝に捨てたくはないだろう。
いま改めて先輩とのやり取り(メッセージ)を振り返ると、その分量は驚くほど少ない。ところが、先輩と実際に交わした会話も、同じくらい少ないのだ。私は先輩を独り占めしたいと思っていたはずなのに、このブログを書きながら失恋の涙を流すこともない。この四ヶ月、私は何を見ていたのか。本当に全てが妄想だったのだと感じる。
だからこそ手短に、この物語の結論を書こう。顔すらちゃんと見たことがなかった先輩は、この文章を書きながら私が収拾がつかなくなるほどに膨らました理想(妄想)をはるかに超える、素敵な女性だった。そして私はいま、人生で初めて先輩に惚れたのである。