文系大学院生の研究とは、修士論文完成までの話

2020年1月21日、わたしは修士論文審査会を終えた。経済学研究科で2年間送ったわたしの大学院生活の話を、大学院に進学するか迷っているあなたに送りたい。あなたの進路を判断する材料になれば幸いである。

大学院での講義の話

大学院に進学したら、講義を聞くのはあくまでおまけであって、どれだけ面白い研究をできるかどうかが大学院生活の中心であるというのは経済学研究科には当てはまらない。経済学研究科の学生はまず1年間使って勉強する。

経済学研究科の講義にはコア科目というものがあり、どこの大学に進学しても、ミクロ経済学、マクロ経済学、計量経済学をみっちりと勉強する。わたしが進学した大学院にはそれぞれ中級科目と上級科目があるのだが、博士課程に進学予定のなかったわたしは中級ミクロ経済学と中級計量経済学しか履修しなかった。

わたしの専攻は環境経済学なので、これでも修士論文を書く程度なら十分なのだが、わざわざ大学院に進学してこんなもんでいいのかという感じはある。しかし、そもそも勉強なんて全く好きでもないのに、なぜ大学院になんて進学したのかという問題に行き着いてしまうことは言うまでもない。

ちなみに、わたしが研究で使ったモデルは、基礎から応用まで講義では一切扱われない類のものであった。だから一から十まで全部一人で勉強した。とはいえ、そんなに難しいものではなかったし、大学院生というのはこれくらいのことはできなくてはいけない。

大学院での研究の話

修士課程は2年しかないのに最初の1年を勉強に使うのだから、ほとんどの大学院生は修士2年の4月から12月までの9ヶ月しか研究はしない。しかし、わたしの所属したゼミは事情が異なっていた。修士1年の2月までにサーベイ論文を提出する手筈になっていたのだ。

そういうわけでわたしの研究は修士1年の夏から始まった。修士論文で一番大変なのはリサーチクエスチョンを見つけることなのだが、わたしの場合、運良く一般書を読んでいる途中に見つけることができた。修士1年の終わりには5,600語程度のサーベイ論文を提出した。

わたしの研究は実証分析だったのだが、実際に統計パッケージ(Matlab)で計算を始めたのは修士2年の夏である。文系院生の研究は地味で、基本的に論文をひたすら読むことに時間を使う。わたしは合計104の論文を集めたが、最初から最後まで読んだのは31本だけだった。イントロダクションだけ読んだりメソッドだけ読んだりすることが多いのだ。

計算が全然うまくいかなかった夏休みの話は以前書いたが、秋以降なんとかうまく結果を出すことができた。最終的には7,100語程度の短い修士論文を書き研究は終わった。修論審査会では随分と褒められたので、何かと上手くまとまったというところだろうか。

厳しい就職活動の話

わたしの就活は修士1年の10月から2年の6月までである。ちょうど研究を始めてから実証分析を始めるまでの期間と重なる。いうまでもなく6月までは就活が大学院生活の中心になる。わたしの研究発表は1年でわずか5回しかなかったので、2ヶ月に一回くらいである。就職活動をしながら少しずつ論文を読み進めていく感じである。

ちなみに、就職活動の方は40社弱受けて内定が出たのは1社だけ。就活を始めて3ヶ月目の1月に頂いたものだ。全く就職活動というのは面白いもので、収まるべきところに収まるのだ。そう確信できる。

その他色々な事の話

大学生の頃のわたしはほとんど昼寝以外何もしない底抜けの阿呆だった。それが就職活動が終わってから随分と色々な経験をした。まず、7月からプログラミングを始めた。R StudioやMatlabといった統計パッケージで数値計算をした。簡単なものではあるが、大学院に進学していなかったら経験することはなかった。

修士2年の7月の終わりにこのブログを始めた。今日まで色々な経験をできたが、今ではマークアップ言語をある程度記述できるようにまでなった。まだまだ収益を上げるのは先の話だが、文章を書くのは楽しい。

11月に自由主義の政治哲学に出会った。F. ハイエクやM. フリードマンに薫陶を受けたのだ。これは今後のわたしの人生に大きな影響を及ぼすだろう。就職活動をしているときから愛国者だったが今では保守自由主義者である。

12月にはライターを始めた。アルバイトである。経済や環境といったテーマで記事を書いたこともある。大学院で過ごしていれば、それなりに文章をまとめる力が付くのだ。最近では投資を始めた。バイデン政権の政策には投資のチャンスがたくさんある。

いま就職活動をしていたら上手くいっていただろう。大手企業に内定をもらっていたかもしれない。しかし、就職活動をしていた頃と考え方が随分と変わったにもかかわらず、これから始まる社会人生活へのワクワクが止まらない。わたしは並ではないこだわりを持って就職活動をしていた。中途半端にやらなければなるようになるものだ。

終わりに

大学院に進学するのは何かと大変である人もいるだろう。わたしも日本学生支援機構の奨学金を貸与しているが、それでも進学できない人もいる。しかしもし、あなたが大学院への興味と進学のチャンスを持っているのなら、進学してみても良いかもしれない。それなりに面白くなること請け合いである。