東京が舞台の青春小説なら『東京物語』を

青春を取り戻せ

大学時代、私はゼミやサークルには目もくれず、ただひたすら惰眠を貪っていた。そうして青春というものを経験しなかったので、前職の繁忙期、上司と3時までサービス残業をした時は無給でも楽しかった。

これからは忙しなく働き、悪友たちと無意な時間を過ごそう。「野郎ばっかでつるむなんて今のうちだけだ。(中略)損得ない付き合いができるのは、二十代までに知り合った友だちだけだ」というのは本書の名言だ。

東京物語は一昔前、キャンディーズが解散した70年代後半からベルリンの壁が崩壊する80年代後半までの話だが、この頃の若者にあるエネルギーみたいなものにどこか憧れる。私も東京でこんな人生を送ろう思った。