英国保守本流の門を叩く

最後に革靴を買ってから3年弱が経った。この間に転職と移住を経てテレワークに変わったため、あれだけ熱をあげていた紳士洋品も今では、タッセルローファーをたまに履く程度になった。

そのタッセルローファーも飲み会で羽目を外して一足は破棄、残った一足も買い替えることを渋り修理に出している。革靴は今でも好きではあるものの、昔のように好奇心を向けることも無くなった。

英国王室御用達を

先日できた彼女が半年ほど前に一度、パーティーの場でトラッドな紺ブレザーを着ていたことがあった。それがあまりに素敵だったので、いつかタッセルローファーをプレゼントしたいと約束していた。

その彼女と先日、『俺のダンディズム』を観ていた。第3話「革靴」を観ているとそういえば、Tricker’sのウィングチップを女性が履いたらとても素敵だと大学院時代に考えたことをふと思い出した。

そうして冗談半分で目指したトレーディングポストで偶然、型落ちのTricker’sが半額になっていたとしたらいくらなんでも虫が良すぎるが、なんと本当にセールをしていた。しかも在庫が残っていた。

そういうわけで1足12万円のウィングチップが6万円になっていたので、彼女と3万円ずつ出し合って購入しようという話になった。では何色にしようか。その時はブラックとキャメルの2色があった。

革靴初心者で1足目の彼女はブラックを選ぼうとしていたが、Tricker’sと言ったら誰だってまず初めにキャメルのウィングチップを思い浮かべる。これはもう2足大人買いする以外に選択肢があるのか。

引越しを控えて物入りの今、まさか12万円も貯金を使うわけにはいかないが、奇遇にも先日の海外出張の手当がそれくらいあることを思い出したので、ここは思い切って私が大人買いすることに決めた。

人生で初めて英国製の高級革靴を購入したが、やっぱりBerwickとはオーラが違う。自分が履くわけではないものの、まるで初めて革靴を購入した時のようなワクワクが蘇ってくる感覚があるのが楽しい。

給料日になったら手当がもう4万円高かったので、私のタッセルローファーもお気に入りのBerwickで新調することにした。もうすぐ冬休み。紺ブレザーの彼女と革靴で、デートをする日がやってくる。