文系大学院生ブロガーの人生最後の夏休み

7月上旬に大学近くの下宿を引き払い、実家に戻った。今は亡き祖父が使っていた和室の広縁に机を起き書斎を拵えた。外に出る用もないから、一日のほとんどをこの狭い空間で過ごしていた。実家和室で燻った人生最後の夏休みを振り返り、皆様に聞いて頂こうと思う。

ブロガーの夏休み

人生で最後の夏休みは7月下旬に始まった。夏休みに入ってすぐにまずはホームページを作った。始めて一週間も経たないうちに初収益を手にし、「随分と簡単じゃないか」と勘違いしてから今日まで一円も収益は出ていない。

しかし、収益など今では二の次である。何よりも文章を書くことが楽しい。文章を読んで頂けることは幸せである。先日、麗しき黒髪の人気ブロガーのホームページに文章を寄稿し、まるで物書きにでもなったかのような擬似体験をすることまで出来た。

文章を寄稿することでは無くて、麗しき黒髪の乙女との共同作業がお前の本意だろと考えたそこのあなたは底抜けの阿呆である。いくら燻っているからといって私は日本男児の誇りは捨てていない。

大学院生の夏休み

私は大学院生である。研究内容は簡単な行列計算を用いた推計なのだが、統計パッケージを触ったことが一度もなかったので、恐れ多くて先延ばしにし続けた。しかし、修士論文の初稿を年内には完成させなくてはならないから、満を持してプログラミングを始めた。

データを作る時にエクセルの列を一つずらしてみたり、誤った方程式を書いて焦ってみたりと困難もあったが、なんとか全部の推計を完成させた。一つだけ解釈ができない結果が大変な気がかりではあるが、ひとまずここまで来れたことに安堵している。

私は愛用のパソコンで計算を行うのだが、メモリが少ないから随分と時間がかかる。晴れた日の午後、太陽の差す和室広縁で計算を待つ間、読書や昼寝をしたことは豊穣な夏休みの思い出の一断片である。

流行り病と夏休み

流行り病が恐ろしいから滅多なことでは外出しなかったのだが、何度か和室広縁を出たことがあった。まず県内を旅行した。実家から2時間もかからない館山への小旅行だが、部屋に露天風呂の付いた贅沢な旅であった。ちなみに、新しいブログをこの旅館で完成させた。

9月に入り、留学生の女の子と汐留の美術館に出掛けた。その日の夜は生意気にも銀座で寿司を食べた。回ってはいたが、高層ビルの10階にある寿司屋で、誕生日祝いも込めて御馳走してあげたので大変な出費になった。

プロローグ

そして今日、人生で最後の夏休みを迎えた。8時に起き、三島由紀夫の文化防衛論を読了し、靖国神社と千鳥ヶ淵で英霊に祈りを捧げ、帰りに憧れの万双本店に足を運んだ。19時前には家に帰り今、和室広縁の書斎でこのブログを認めている。

あまり長く書いても読んで頂けないからこれくらいにしておこう。何はともあれ、本当に豊穣な夏休みであった。